くすの木 9月号
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〜佐賀エリアくみかつスタッフおすすめ〜自然に親しみ、水と遊ぶ文化をもっと身近に自然に親しみ、水と遊ぶ文化をもっと身近に瀬川の治水や六角川の水害についての勉強会なども開いています。方も多いでしょう。例えば私の自宅は、洪水ハザードマップでは1~3m浸水する地域ですが、自宅から北西800mの嘉瀬川堤防が破堤したときは160cm浸水しますが、上流の川上地区で決壊した場合には、40cm程度しか浸水しません。国土交通省が詳細な浸水被害データをホームページ上に公表しているので、それを確認すれば、どういう状況になったときが、自分の住んでいる地域が最悪の状況になるかを想定できます。その見方さえ分かっていれば、必要以上に怖がることはないんです。 詳細なデータをもとにしたハザードマップの見方は、公民館などで何度も講演してきましたが、個人的な相談にも応じています。詳しく知りたい方は、私が出勤している火・金・日曜日にご来館いただき、どうぞ気軽に声をかけてください。2嘉瀬川防災施設さが水ものがたり館佐賀市大和町尼寺3247番地TEL.0952-62-1277開館時間…9:30~17:00休館日…月曜日(ただし月曜日が祝日の場合は翌火曜日)さが水ものがたり館石井樋公園館内の石井樋の模型〈インタビュー:佐賀エリアくみかつスタッフ/文責:福地〉嘉瀬川防災施設「さが水ものがたり館」 館長 荒牧 軍治さん1943年長崎市生まれ、佐賀市在住。九州大学工学部土木工学科卒業後、同大学大学院で博士課程を単位取得のうえ退学。昭和46年に佐賀大学理工学部に着任し、防災工学の研究と教育に尽力。平成21年から佐賀大学名誉教授。平成22年、「さが水ものがたり館」の館長に就任。佐賀の水の歴史を伝える防災施設 平成17年に開館した「さが水ものがたり館」は、今から420年前、佐賀の治水・利水を手掛けた成富兵庫茂安(なりどみひょうごしげやす)の功績を伝える施設で、嘉瀬川の防災施設としての役割も担っています。水の神様とよばれた茂安は佐賀県内に100以上の水の仕掛けを作ったと伝えられ、その中でも最高傑作といわれているのが、当館の敷地内にある石井樋です。嘉瀬川から多布施川に水を引き込むために築かれたもので、「象の鼻」「天狗の鼻」など、かつての利水技術が復元・保存され、水遊びができる公園として整備されています。 茂安は、小学校の副読本でも紹介される偉人で、郷土学習に取り組む小学4年生を中心に、県内各地から多くの子どもたちが来館します。小学4年生というのが絶妙で、大人の話す内容が理解できるうえ、素直にちゃんと聞いてくれます。子どもたちに佐賀の水の歴史や茂安について話すのは、大学生に教えるより面白いかもしれません。もちろん、子どもたちばかりでなく、一般向けに防災・減災講座、嘉河川敷を利用したキャンプが大人気 近年は、水のことを学ぶ場としてだけでなく、周辺の自然環境を活かした遊びの場としての利用も増えてきました。これまでも、夏休みシーズンにあわせて、生物観察や水辺遊びなどを企画してきましたが、コロナ禍ということで注目されたのが河川敷キャンプです。敷地内の一部を、キャンプ場として無料で貸し出しており、福岡や鹿児島など県外からもアウトドアファンが訪れるようになりました。 私たちの時代とは違い、こんなにも情報も食べ物も豊かで充実しているのに、子どもたちが自然と遊ぶ機会はどんどん減っています。だからこそ、遊びたくなるようなきっかけや、仕掛けが必要なんです。数年前、規制が厳しかった河川の利活用に関する法律が変わったこともあり、全国各地で河川敷や水辺を活用したいろんなアイデアが生まれています。当館でも、さまざまな遊び方を提案して、水辺の文化に新しい価値観を生み出していきたいと考えています。防災マップの見方を教えます 豪雨や線状降水帯の発生数が増えたことで、災害への危機感は高まり、自分の住んでいる地域でどんな災害が起こる可能性があるか、ハザードマップで確認済みの

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