くすの木 12月
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「さが多胎ネット」は、双子や三つ子ちゃんなどを育てる多胎家族が、安心して佐賀で子育てができるようにサポートする団体です。その原点は、私自身が男女の双子と次女を持つ母であること。今でこそ29歳と26歳に成人していますが、手がかかる子育て期は育児ノイローゼに近い状態にまで陥りました。幼稚園教諭としての経験から、理想の子育てを“しなければならない”と、自分で自分を追い詰めていたんだと思います。 そもそも多胎の妊娠・出産・育児は非常にリスクが高いといわれています。また、育児不安も多く、外出も困難で孤立しやすくなります。私は、買い物の時に出会った双子先輩ママに話しを聞いてもらったことで、それからの育児に希望を持つことができました。その経験から、同じように悩む家族の力になれればと平成13年に佐賀市が始めた多胎親子のひろばのお手伝いをし、平成16年に「双子・三つ子サークルグリンピース」を発足し活動してきました。平成28年に多胎研究の第一人者の故・大木秀一氏(元石川県立看護大学教授)の研究協力メンバーになったことで、全国でも先駆的な多胎支援活動の仲間に出会い「佐賀はまだまだだ。佐賀をどがんかせんば!!」と思いました。そして佐賀県全体の多胎支援をより良いものにするため、令和元年に「さが多胎ネット」を発足。多胎育児経験者と行政、医療、福祉などさまざまな支援者が連携することで、妊娠から出産・育児まで切れ目のない支援を目指しています。ゴールになりがちですが、産んでからの多胎児育児は想像以上に大変過酷です。そんな多胎家族を支えるためには、「ピアサポーター」の存在が欠かせません。ちなみに、多胎児の出産・育児を経験したからといって誰でもピアサポーターになれるわけではありません。研修を通して必要な知識、傾聴スキルを身に付けていただきます。そのためのピアサポーター養成講座やスキルアップ研修会なども定期的に開催しています。 佐賀市のグリンピースをはじめ、今では鳥栖市・唐津市・伊万里市・武雄市にも多胎児の育児サークルや集いの場が広がっています。悩みや不安を話せる場所があること、安心して出産・育児ができるさまざまなサポートがあることを知ってください。ホームページ等でも情報発信していますので、ぜひご覧ください。2https://sagatatai.net/さが多胎ネット「中村さんが携わってきたおすすめの書籍」       「双子・三つ子サークルグリーンピースの様子」 「双子・三つ子ママの元気がでる子育て講座の様子」〈インタビュー:牛島・坂本/文責:福地〉行政や他団体とのつながりで広がる活動 当初は、自主的な活動としてはじめた「さが多胎ネット」ですが、佐賀県が多胎支援に取り組む予算を組み、私たちと一緒にさまざまなサポートをしていくことになりました。例えば、多胎家庭から依頼があれば、ピアサポーター(多胎育児経験者)が市町の保健師さんに同行し、自宅を訪問して育児の相談に応じたり、市町の集団検診や乳幼児相談などのサポートをしています。他にも、コロナの影響でオンライン開催の「多胎妊婦ファミリー教室」では、プレパパ・ママと先輩パパ・ママが交流し、多胎児ならではの育児の工夫の仕方など、知りたい情報を得ることができます。心強い存在、ピアサポーターを育成 現在佐賀県では、年間60組前後の双子ちゃんが誕生しています。多胎の妊娠・出産のリスクが高いため、無事に産むことがさが多胎ネット 代表 中村由美子さん2004年に自主サークル「双子・三つ子サークルグリンピース」を発足。2016年、多胎研究の第一人者である故・大木秀一教授の研究協力団体となり、佐賀県全体を対象とした多胎支援活動を始める。準備会を経て、2019年5月25日に「さが多胎ネット」発足。妊娠・出産・育児の切れ目のない支援多胎家族が安心して子育てできる佐賀県に多胎家族が安心して子育てできる佐賀県に

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