くすの木10月号
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「特定非営利活動法人 市村自然塾 九州」塾頭 高田 哲さん スタッフ 黒田 隆太郎さんリコー三愛グループの創始者で、佐賀県が生んだ名経営者でもある市村清氏の生誕100周年を記念し、2002年に設立された「市村自然塾九州」。子どもたちの健全育成・成長を支援する特定非営利活動法人で、2003年3月から鳥栖市河内町にて塾運営をスタート。2 市村自然塾九州では、「生きる力を大地から学ぶ」を基本理念に農業体験活動、自然体験活動、共同生活を通じて、子どもたちが自主性や自立心、創造性などを育むことを目的としています。活動の対象は、小学4年生から中学2年生までの男女各30名。3月から11月まで、男女別に分かれて隔週末、鳥栖市河内町の塾舎で2泊3日の共同生活を行います。学校も年齢も異なる6人がひとつのチームとなって、互いに協力しながら農作業をし、薪を使った釜飯炊きや座禅、清掃ボランティアなどさまざまな野外活動を行います。 各チームには、農作業を指導するスタッフが世話人として付きますが、あくまでも「指示しすぎず・命令しすぎず・教えすぎず・世話をやきすぎず」が基本。指導は最低限にとどめ、子どもたち自らの気づきを大切にしています。最初はぎこちなくても、寝食をともにしながら、どんな些細なことでもチームで解決していくうちに、子どもたちの関係は友達から家族(兄弟、姉妹)のような絆へと変わっていきます。や結束力が畑の様子によく表れています。 実際のところ、例年と比べ、やりたいことの3分の1しかできていない状況ですが、保護者の方とやりとりするノートを見ていると、「家の手伝いをするようになりました」、「ご飯を食べるときの箸の持ち方が良くなりました」など、自然塾での活動をきっかけに、子どもたちにはさまざまな変化が表れているようです。る心、共同生活のルールが身に付き、それは必ず本人の自信につながります。学校生活においても、生徒会に立候補するなどリーダーシップを発揮する子どもが多いようです。 自然塾では、食材の命に感謝し、命の大切さを知る食育にも力を入れています。生きているものが自分の中に入るという感覚は食材でしか得られないこと。大切な命をいただいて、自分たちが生かされていることを実感してもらいたい。そうすることで、野菜も残さず食べるようになるし、食材に感謝し、作っていただいた方に感謝する気持ちが自然と生まれてきます。 現在、19期生となる令和3年度の塾生を募集しています。自宅から塾舎までの交通費や保険料をのぞき、費用は無料です。コロナの影響で従来の活動内容とは異なる可能性はありますが、子どもたちにとって、かけがえのない人生の経験にきっとなるはずです。稲刈り↑高田さんと黒田さん ↓市村九州自然塾農作業釜飯炊きみそつき〈インタビュー:牛島/文責:福地〉コロナ禍でもできることを考えて実践 18期生となる今年は、コロナウイルスの影響もあり、6月からのスタートで日曜日のみの日帰りになりました。チームごとに管理する農園作業が中心で、自分たちが作りたい野菜の種をまき、苗を植え、仲間と協力しながら作業を行います。当然、チームごとに育てる野菜は異なり、きれいに管理された畑もあれば、草がぼうぼう生えている畑も。それぞれのチームの雰囲気自然に身に付く社会性とリーダーシップ 17年間で1000人近くが卒塾し、すでに社会人として活躍している子たちもいますが、卒塾生のほとんどが「全てをさらけだした自然塾での生活は、怒られたこともたくさんあったけど、とても濃い時間を過ごせた」と言っています。自然塾での経験によって、自分で行動する力、友達を思いや農作業をベースにした自然体験活動市村自然塾 九州 鳥栖市河内町字谷口2212-2  HP:http://www.szj-k.com/生きる力を大地から学び、成長する子どもたち生きる力を大地から学び、成長する子どもたち

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