くすの木5月号
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ンティア活動をしていて、卒業後は縁あって人材育成のNPOに参加。佐賀に帰るのが嫌で、そのまま東京にいたかったんですが、家の事情で佐賀に戻り、保健体育の教師として勤務しました。そこで学校に行けない、行かない選択をする子どもたちと出会い、彼らの居場所づくりをするNPOがあることを知りました。自分は子どもたちのため、佐賀のために何ができるだろうと考えたとき、教師以外の世界をもっと見てみようと、フリースクールや環境活動、高齢者の介護保険事業、障害者の就労支援など、いろんな分野に携わってきました。 そこで出会ったのは、現場で頑張っていらっしゃる方々です。この人たちを応援することで、その活動はもっと社会に広がるだろうと思い、佐賀県未来創造基金を立ち上げました。市民の力はもちろんですが、佐賀が好きだからこそ、地域貢献をしたいという企業さんはたくさんいます。財団設立から5年経ちましたが、佐賀の人口を考えると寄付総額が1億円を超えているのは、全国でもトップレベルです。まさに佐賀県人の志の高さの表れだといえます。この活動を通して、いろんな方と出会い、つながっていくことで佐賀を好きになりましたし、佐賀県人であることを誇りに思っています。います。 地域の皆さんを巻き込みながら、プロジェクトを展開できるのは、顔が見えるコミュニティ財団ならではの強みです。ただ、残念ながら私たちの活動は、まだまだ知られていません。一人でも多くの方に知ってもらうことで、サポートの輪を広げたいし、寄付やボランティアを気軽に活用できることが分かれば、地域のために行動を起こす人が増えるかもしれません。佐賀未来創造基金のホームページでは、助成事業の案内など最新の情報を発信していますので、ぜひご覧ください。さまざまな活動を通して、自分の地域やふるさとを愛し、誇りに思う人たちを一人でも増やしていきたい。そして、そのバトン(想い)を子どもたちにもつなげていきたいですね。〈インタビュー:横山/文責:福地〉2※CSOとはCivil Society Organizations(市民社会組織)の略です。佐賀県では、NPO法人、市民活動・ボランティア団体に限らず、自治会、婦人会、老人会、 PTAといった組織・団体も含めて「CSO」と呼称しています。▲佐賀未来創造基金スタッフ[佐賀未来創造基金 http://www.saga-mirai.jp]              山田健一郎さん 公益財団法人 佐賀未来創造基金理事長1977年生まれ。早稲田大学を卒業後、人材育成NPOを経て、中学・高校の教員として約3年間勤務。その後、まちづくりNPO、佐賀県県民協働課などを経て、NPO法人さが市民活動サポートセンター理事長に就任。2013年佐賀未来創造基金を設立。鹿島市在住。市民が市民の活動を       応援する仕組みづくり 5年前に設立した「佐賀未来創造基金」は、市民の皆さんから預かった寄付で、地域の課題解決に取り組む※CSO(市民社会組織)に助成を行う市民コミュニティ財団です。いわゆる、市民が市民の活動を応援する仕組みで、全国にはまだ20団体ぐらいしかなく、新しい資金の流れをつくりだす取り組みとして注目を集めています。 一番の特徴は、行政などでは対応できない、草の根的な小さな取り組みにもお金や人的支援ができること。地域の課題を、自分たちの力で解決しようと活動する皆さんの気持ちに寄り添いながら、実現に向けて支えるのが私たちの役割です。 たとえば、通常の助成金では中学生や高校生の取り組みは対象になりませんが、私たちなら支援できます。実際、東北の震災支援のために写真展を開きたいという高校生の取り組みをサポートしたこともあります。市民の皆さんの思いを、どれだけカタチにできるかが大切で、小さなお金で大きな変化を地域社会に起こしたいと考えています。もちろん、お金だけを支援しても社会は変わりません。志に共感するボランティアの方を増やすなど、人的な支援を行い、社会全体に活動が広がるようにコーディネートすることも、私たちの大切な役割です。嫌いだった佐賀を           今は誇りに思う 私がこのような活動を始めたのは、さまざまな出会いと経験があったからです。東京の大学に通っていたころからボラ子どもたちに         バトン(想い)をつなぐため これまでに、累計で180以上のプログラムを支援してきましたが、独自に取り組んでいるプログラムもあります。それは、子どもの貧困対策としての「子どもの居場所づくり」や、近隣地区の空き家問題、災害支援プロジェクトです。じっくりと取り組んでいくべき課題や専門性を要するもので、もちろん単独ではなく行政や企業、関連するCSOの皆さんと連携して進めて地域の未来を創る活動を支えたい

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